海上自衛隊初の全通飛行甲板型護衛艦として就役。
台風ヨランダに倒れたレイテ島へ、被害の救援「サンカイ」の名のもとに向かった。
着る、戦術。
VESSEL RECORD
いせ(JS Ise, DDH-182)は、海上自衛隊が保有するひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦の2番艦である。艦名は令制国の伊勢国に由来し、太平洋戦争を戦った航空戦艦「伊勢」に次ぐ二代目の継承だ。2008年5月30日、アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド横浜工場で起工。翌2009年8月21日の命名・進水式では、艦名板の揮毫に伊勢神宮大宮司・鷹司尚武の筆が用いられ、材は宇治橋に使われた欅が充てられた——神宮との精神的な紐帯を、艦は起工の刻から纏っていた。2011年3月16日に就役、第4護衛隊群第4護衛隊に編入された。
ひゅうが型は海上自衛隊初の全通飛行甲板型護衛艦だ。全長197m、満載排水量19,000t、4か所のヘリコプター発着スポットによる同時運用能力——哨戒・掃海・輸送ヘリを最大11機搭載し、対潜・対空・対水上の各戦闘任務から災害派遣まで対応する多目的艦として設計された。兵装にはMk.41垂直発射機16セル(ESSM・アスロック)、CIWS(ファランクス)2基を装備し、護衛艦初の統合武器管理システムFCS-3Aを搭載。1番艦ひゅうがの運用経験を踏まえ、洋上補給装置の追加など細部に改良が加えられている。
2026年3月23日、部隊改編により第2護衛隊群が廃止された。水陸両用戦機雷戦群新編に伴い、直轄艦(旗艦)として編入される。 同年4月13日、令和8年度インド太平洋方面派遣 第1水上部隊として、護衛艦いかづち、輸送艦しもきた、とともに日本を出国した。
「サンカイ」——友達という意味のその言葉で、いせはレイテ湾に向かった。全通飛行甲板とは、戦いの道具であると同時に、命を繋ぐ甲板でもある。
— NECOKOUCAN — VESSEL RECORD全長
満載排水量
ヘリコプター最大搭載数
DESIGN INTENT
いせのデザインが捉えようとしたのは、全通飛行甲板という水平線の意味だ。艦橋が右舷に寄り、甲板が艦首から艦尾まで途切れなく続く——その水平のラインは、航空母艦的な形態を持ちながら護衛艦として存在するという、日本独自の選択を体現している。戦闘艦であり、救援艦でもある。そのどちらも嘘ではない。
カラーリングは海上自衛隊標準の船体色(ライトグレー)を基調とした。外洋の光の中で最もいせらしく見える色だ。このデザインを纏うとき、着る者はその甲板の上で何をするかを問われる。攻めるのか、守るのか、救うのか——いせはその全てに対応した艦だ。着る、戦術。
COORDINATE
いせは、全通飛行甲板という可能性を纏った艦だ。対潜戦の最前線に立ちながら、レイテ島の被災者に毛布と薬を届けた。この服を着るとき、同じ問いが生まれる——あなたは、その甲板で何をするか。3色を提案する。
PHOTO 01
- 海上自衛隊の制服色——いせの乗員が日々纏う外洋の深青
- 白プリントとの対比でひゅうが型の全通甲板シルエットが際立つ
- 遠洋航行の夜、いせの艦橋から見る水平線の色
→ 佐世保を出港したいせが向かう外洋の色。ネイビーを選ぶ者は、その水平線の先を知っている。
PHOTO 02
- いせの全通飛行甲板に塗られた滑り止め塗装の色——SH-60Kが離着艦する鋼の灰
- JMSDFのグレー系船体色に最も近い実用的なストリート色
- ネイビーとスレートの中間。最も「艦上にいる」色
→ ヘリが降り立つ甲板の色、それがチャコールだ。レイテ湾でも、訓練海域でも、いせの甲板はこの色で被災者と乗員を受け止めた。
PHOTO 03
- 海上自衛隊標準の船体塗装色——いせが全生涯をまとった外洋の灰青
- 艦橋から艦尾まで続く全通甲板のシルエットを最高の解像度で見せる
- 最も「正統」ないせの色。艦艇デザインと完全に共鳴する
→ 海上自衛隊の灰青は、ただの塗料ではない。外洋の水面に溶け込むための意志の色だ。スレートを纏う者は、その任務の重さを知っている。